転機(きっかけ)
いまここに教員を志すひとりの高校生がいます。今年、学校の制度を利用して中学での教育実習に挑戦します。
彼は岐阜ボーイズの選手でした。ただ、度重なる怪我、そして世界でも症例の少ない脊椎の病気で3年間で1/3もグランドには行けませんでした。
監督や指導者、仲間たちのサポートを得て、あまり着ることの出来なかったキレイなユニフォーム姿で卒団。しかし、高校1年時には歩くことも、立っていることもできなくなり、大きな手術に立ち向かうことになります。
コロナ禍で肉親でも病室に入ることすら許されない中、ひとりで5時間以上にわたる手術に耐え、無事に退院することができました。でも、もう野球はできません。
「ボーイズで頑張ったから耐えることができたかも・・・」
何気なく彼が呟いたひと言でしたが、親として、何か救われた気持ちになりました。
ボーイズ時代、彼は試合とか、練習とか冬トレとか、そんな類いの野球は出来なかったけど、怪我や病気と対峙するたびに野球というフィールドで成長できていたと、いまようやく振り返ることができます。
怪我や病気が転機(きっかけ)になり、教員になりたいという気持ちがより強くなったのでしょう。同級生より1年遅れの高校3年生を迎える今年、ボーイズ時代に得た経験を糧に懸命に学業に専念。そして、たまに弟とキャッチボールをしています。
負ってしまった怪我や病気を悔いるのは仕方ないこと。でも、しっかりと落ち込んだあとは、怪我や病気を転機にしていける強い心をしっかり持つこと。そうすることで、いまよりもっと大きな姿でグランドに戻ってこれると信じてます。戻ってくるのを待っています。
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